【2025年最新版】外国人従業員の扶養控除まるわかりガイド|人事担当者が知るべき手続きと注意点

2025.08.01
【2025年最新版】外国人従業員の扶養控除まるわかりガイド|人事担当者が知るべき手続きと注意点

【2025年最新版】外国人従業員の扶養控除まるわかりガイド|人事担当者が知るべき手続きと注意点

外国人材の受け入れが進む中、「外国人従業員の扶養控除」は、従業員の手取り額に直結し、定着率の向上にも繋がる重要な制度です。

しかし、日本人従業員とは異なる要件があり、正しく理解しないと追徴課税などのリスクも伴います。

この記事では、人事・労務担当者様に向けて、扶養控除の基本から具体的な手続き、注意点までを、2025年時点の最新情報に基づき分かりやすく解説します。


【Step 1】あなたの会社の従業員は対象?

まず最初のステップは、扶養控除を申請しようとしている外国人従業員自身が、日本の税法上の対象者かどうかを確認することです。最大のポイントは、その従業員が「居住者」に該当するかどうかです。

「居住者」と「非居住者」の大きな違い

日本の所得税法では、個人の納税義務者を「居住者」と「非居住者」に分けており、それぞれで扶養控除の扱いが異なります。

区分 定義 扶養控除の適用
居住者 日本国内に「住所」がある、または現在まで引き続いて1年以上「居所(生活の本拠)」がある個人。 原則として適用可能。
非居住者 居住者以外の個人。(例:短期出張者、入国して1年未満の方など) 適用が制限されます。

多くの就労ビザで働く外国人材は「居住者」に該当しますが、入社直後や在留期間が短い場合は注意が必要です。必ず在留カードやパスポートで在留期間が1年以上あるかを確認しましょう。


【Step 2】どこまでが家族?扶養親族の範囲

従業員が「居住者」であることを確認できたら、次はどの範囲の家族を扶養に入れられるかを確認します。外国人材の扶養控除の大きな特徴は、海外に住んでいる親族も対象になる点です。

扶養にできる親族の4つの条件

  • ✅ 6親等内の血族および3親等内の姻族であること。
  • ✅ 納税者(従業員)と生計を一にしていること。(=生活費などを常に援助している状態)
  • ✅ 年間の合計所得金額が48万円以下であること。(給与のみの場合は年収103万円以下)
  • ✅ 原則として、その年の12月31日時点で16歳以上であること。

【重要】国外の家族を扶養に入れる場合の追加要件

海外に住む家族を扶養に入れる場合、客観的な証明がより厳格に求められます。特に、2023年からの税制改正で要件が厳しくなったため、注意が必要です。

1. 親族関係を証明する書類

  • 戸籍謄本や出生証明書など、本人との関係性を示す公的な書類が必要です。
  • 外国語の場合は、必ず日本語の翻訳文を添付しなければなりません。

2. 送金関係を証明する書類

  • 生活費や教育費のために送金したことを証明する書類が必要です。
  • 「誰から誰へ、いつ、いくら送金したか」が明確にわかる必要があります。

⚠️ 30歳~69歳の国外親族は要注意!
原則、扶養控除の対象外ですが、「留学生」「障害者」または「年間38万円以上の送金を受けている者」は例外となります。

(参考:国税庁「国外居住親族に係る扶養控除」


【Step 3】具体的な手続きと必要書類

国ごとで異なる「親族関係書類」の例

親族関係を証明する公的書類は国によって異なります。事前に従業員へアナウンスしておくとスムーズです。

国籍の例 必要書類と注意点
フィリピン 出生証明書(Birth Certificate)、婚姻証明書(Marriage Certificate)など。PSA(フィリピン統計局)発行のものが一般的です。
ベトナム、中国 戸籍簿(Sổ hộ khẩu)、出生証明書(Giấy khai sinh)、戸口簿(户口本)など。取得に時間がかかる場合があるため、早めの準備を促しましょう。
ブラジル、ペルーなど 出生証明書(Certidão de Nascimento)、婚姻証明書(Certidão de Casamento)など、現地の登記所が発行する公的書類が必要です。

※上記はあくまで一例です。いずれの書類も、日本語の翻訳文(翻訳者の氏名を明記)の添付が必須となります。


失敗しないための3つの注意点

注意点1:証明書類の不備は絶対にNG!

税務署は近年、特に国外扶養親族に関する証明書類のチェックを強化しています。「書類が少し足りない」という安易な判断は非常に危険です。送金証明は「手渡し」では認められず、必ず金融機関などを通した客観的な記録が必要です。

注意点2:「社会保険の扶養」との違いを理解する

よく混同されがちですが、税法上の「扶養」と、健康保険・年金の「扶養(被扶養者)」は全く別の制度です。社会保険の扶養は、原則として国内居住要件があるなど、より厳しい基準が設けられています。

注意点3:税務調査に備えた記録管理

提出された扶養控除の申告書や添付書類は、法定期間(通常7年間)の保管義務があります。いつでも提出できるよう、整理して保管しておくことが企業のコンプライアンスとして重要です。


まとめ:適切な扶養控除で、従業員と会社の双方にメリットを

外国人従業員の扶養控除は、ルールが複雑で手間がかかる部分もありますが、正しく運用することで大きなメリットが生まれます。

  • 従業員のメリット: 所得税・住民税の負担が減り、手取り収入が増加。日本での生活基盤が安定する。
  • 企業のメリット: 従業員の満足度とエンゲージメントが高まり、離職率の低下につながる。

最も重要なのは、最新のルールを正確に理解し、必要な書類を不備なく揃えることです。もし手続きに不安があれば、専門家に相談することをお勧めします。

TEL:+63-90-8893-0963

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