フィリピンでようやく110万回接種 ワクチン世界格差顕著に
政府のワクチン担当責任者のガルベス大統領補佐官は11日、中国シノバック製とアストラゼネカ製を中心とする国内のワクチン接種事業で10日までに計113万7534回分の接種が完了したことを明らかにした。
3月1日に接種事業を開始して6週間ほどでようやく100万回を超えたが、欧米諸国などでの接種状況に比べるとスピードは遅い。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は9日「ワクチンの世界的な流通には衝撃的な不均衡が残っている」と表明するなどワクチン流通をめぐる格差が比にも影を落としている。
テドロス事務局長は9日、記者会見で、世界中でこれまでに供給された7億回分のワクチンのうち、87%以上を富裕国が入手しているのに対し、低所得国はわずかに0・2%の確保にとどまっていることを明らかにした。富裕国では4人に1人がワクチンを接種しているのに対し、低所得国では500人に1人しか接種できていないという。
このようなワクチン流通の格差に比も悩まされており、政府は現在まで中国シノバック製ワクチンの確保に重点を置いてきた。ガルベス補佐官は11日、比政府が購入した中国のシノバック製ワクチン第2弾となる約50万回分をマニラ空港第2ターミナルで受け取った際に、シノバック製ワクチンが今月中に計150万回分到着する予定で、5月にも200万回分が到着予定だと明らかにした。さらに6月に450万回分、7月にも300万回分が到着する見込みで、中国製ワクチンが当面、政府主導のワクチン接種事業の主力になりそうだ。
一方、同補佐官によると、ロシアの国立ガマレア疫学・微生物研究所と国防省が共同開発したワクチン「スプートニクV」の第1弾50万回分も4月中に到着する予定だ。スプートニクワクチンについては比食品医薬品局が3月18日に緊急使用許可を出しているほか、比国内で製造するための交渉も続けられているという。
また、同補佐官は11日、企業や地方自治体が政府と共同で調達契約を結んだアストラゼネカ製と米モデルナ製のワクチン計1800万回分も5月に到着する予定だとも述べている。5月以降にこれら欧米製や中国製のワクチンが予定通り到着すれば比国内のワクチン接種事業もようやく拡大するとみられる。(澤田公伸)
参照元:http://www.manila-shimbun.com/category/society/news256966.html