【2022/02/16 更新】水際対策3月に緩和、入国後待機0~3日に条件付き短縮 技能実習生らの新規入国も容認
入国後の自宅や指定施設などでの待機期間に関し、一定の条件を満たせば現在の7日間から3日間に短縮もしくは待機免除とする。
1日あたりの入国者数の上限も今の3500人から5000人に引き上げる。
岸田文雄首相が17日に記者会見を開き対策の概要を表明する。
3月以降、日本人と外国人を問わず入国後の待機期間は7日、3日、0日の主に3パターンとなる。
原則は7日間とし、3日目の検査で陰性を確認できたなどの要件を満たせばそれ以上の待機を不要とする。
ワクチンの3回目接種を済ませ、かつ感染が拡大していない国から入国する人については待機自体を免除する。
感染拡大国から入国する人はその国の感染状況によって、待機期間のうち3~6日間は政府指定の施設で待機するよう求められている。3月以降はこれを一律3日間に緩和する。
感染から発症までの期間が短いとされる変異型「オミクロン型」の特性を踏まえた対応だ。
感染拡大国からの入国でも、ワクチンの追加接種を済ませた人については指定施設ではなく自宅で待機してよいと改める。
政府がオミクロン型の流行国に指定しているのは10日時点で米英や韓国など82カ国・地域にのぼる。非指定国はニュージーランドやカタールといった中東諸国などがある。将来的に感染が下火になれば待機せずに入国できる国が広がる。
2021年11月末から原則停止としていた外国人の新規入国はビジネス目的の入国や留学生のほか技能実習生も認める。受け入れ企業・学校が管理を徹底することを前提とする。観光目的での新規入国は引き続き認めない。
それに伴って1日あたりの入国者総数の上限も5000人に引き上げ、11月下旬の水準に戻す。新規入国の増加に備え、年度末に向けた在外邦人の帰国需要への対応も念頭に置く。
新規入国者を受け入れる企業などは入国者の行動計画を所管省庁に提出し、事前に審査を受ける必要があった。
来月以降は届け出項目を簡素にし事前審査を不要とするものの提出自体は引き続き求める。
政府は21年11月末に水際対策を厳格にし、外国人の新規入国の原則停止やワクチン接種者を含めた入国後の一律14日間待機などの措置を決めた。
国内でオミクロン型が流行し水際対策の意義が薄れた後も厳格さを維持する日本政府の対応に、企業や学校、海外から「鎖国」になぞらえる批判が出ていた。
出入国在留管理庁への取材で、在留資格の事前認定を受けながら来日できていない外国人が22年1月4日時点で40万人規模にのぼることが分かった。
厳しい入国制限が長引いたため、21年10月1日時点の37万人から3カ月で3万人程度増えたことになる。
未入国者数を資格別でみると留学15万2千人、技能実習12万9千人で、両資格で全体の7割近くを占める。
政府が制限緩和にカジを切っても1日あたりの入国者数には引き続き上限がある。膨れ上がった来日待機者を全て受け入れるには時間がかかる。
世界では水際対策の緩和や撤廃が相次ぐ。
英政府は11日からワクチンを2回接種した人がイングランド地方に入国する際の隔離や検査を不要とした。
フィリピンも10日から接種済みなら隔離無しでの入国を認めた。
日本の水際対策はなお国際的に厳しい水準にある。
商社などでつくる日本貿易会の小林健会長は16日の記者会見で「緩和の方向は評価したい」と述べた。
そのうえで「諸外国の状況なども踏まえると、もう一つ踏み込んだ緩和策をぜひお願いしたい」と強調した。